enforcement · Class 08 · 約16分
β版 ― Lore Guide Institute の Localization 担当として作った日本語訳で、Institute 側の確認を経た正式版ではありません。原文と食い違うところがあれば、原典(英語)が正です。
Enforcement クラス08 試合の進め方と時間管理
原典: Lore Guide Institute, Enforcement Class 08 “Match Procedure and the Clock” https://institute.lorcanajudges.com/learn/enforcement-08-match-procedure-and-clock/ この日本語版は Lore Guide Institute のコンテンツをもとにしています。 所要時間の目安: 約16分 / 小テスト9問
対象: 試合そのもの ―― その構造、手順、時間 ―― に向き合う用意のあるフロアのロアガイド。ルール クラス02・06 と Enforcement クラス01 を先に読むことを勧めます。
このクラスで身につくこと
- 試合を運営できる ―― 3本勝負、マッチポイント、先攻・後攻を誰が選ぶか、結果をどう記録するか
- 試合開始前の手順(パイルカウントを含む)と、スイスドロー・決勝トーナメントそれぞれの試合終了時の手順を進められる
- ラウンドの時間を管理できる ―― 制限時間、繰り上げ開始、時間延長、そして Slow Play が足す2ターン
- 投了と意図的な引き分けに対応でき、それを求めること自体が違反になる場面を見分けられる
先に読むことを勧めるクラス: ルール クラス02「ターンの構造、ステップとフェイズ」/Enforcement クラス01「Entry-level とカジュアルのイベント」/ルール クラス06「呼ばれたときの対応 I」
訳注: 大会ルール(Tournament Rules)とプレイ修正指針(Play Correction Guidelines / PCG)は **日本語版が公開されていません。**イベントの格付け(Entry-level / Competitive / Premier Play)や 違反名(Slow Play、Tardiness など)は定訳が無いので、原語のままにして初出で説明を添えています。 日本の公認イベントには別に「日本語版イベントルール」があり、この文書とは別物です。
ルール クラス02・03 はターンを教えました。このクラスが教えるのは、その周りにある試合です。この種の呼び出しはルールの争いより静かですが、**順位を決めます。**だから正確に覚えてください ―― ラウンドの終わりには、いくつもの卓が同時にあなたを必要とします。
01 試合の構造
Entry-level(入門級)と Competitive(競技級)のイベントでは、試合の構造は**トーナメント主催者(Tournament Organizer)が決めます。**そのうえで Ravensburger は、64人以上の Competitive イベントと、そのレベルの3本勝負のイベントすべてに、Premier Play の構造を使うよう勧めています。〔1〕
まずこの構造から覚えてください。3本勝負で、先に2ゲーム取ったほうが試合の勝者。試合に勝てば3マッチポイント、引き分けで1、負けで0。〔1〕
試合は、勝ったゲーム・負けたゲーム・引き分けたゲームの数で記録されます。**プレイヤーが合意して引き分けたゲームも、終わらなかったゲームも、どちらも引き分けとして記録されます。**ですから、2ゲーム続けて勝ったプレイヤーは 2-0-0、1ゲーム勝ったところで時間切れになり、終了時の手順でも決着がつかなかったプレイヤーは、そのプレイヤーの側から見て 1-0-1 と記録されます。〔1〕
02 先攻・後攻
ゲーム1の前、どの行動もまだ行われていない時点で、2人のプレイヤーは**どちらが「先攻か後攻かを選ぶ側」になるかを無作為に決めます。**方法は2人が合意したものなら何でもよく、サイコロでもコイントスでもかまいません。方法について合意できないときは、ロアガイドがその試合の方法を決めます。〔1〕
あなたがどちらを先攻にするかを決めるのではありません。決めるのは、どうやって決めるかです。
無作為の決定に勝ったプレイヤーが、ゲーム1の先攻・後攻を選びます。そして試合中のこの種の選択には、3つのルールがかかります。
- そのゲームの初期手札を、どちらかが見る前に選ばなければならない。
- 決められないプレイヤーは、先攻を選んだものとみなされる。
- 各ゲームのあと、直前のゲームに負けたプレイヤーが次のゲームの選択をする。〔1〕
先攻のプレイヤーは、最初のターンの始めにカードを引きません。〔1〕これは ルール クラス02 で学んだルールを、大会ルールの側から言い直したものです。〔2〕
**決勝トーナメント(シングルエリミネーション)では1つだけ変わります。**スイスドローの順位が上のプレイヤーが、ゲーム1の選択をします。〔1〕
03 ゲーム開始前の手順
どのゲームも同じように始まります。各プレイヤーが自分のデッキをシャッフルし、対戦相手に差し出します。対戦相手はさらにシャッフルするか、カットできます。そのうえで両者が初期手札7枚を引き、どの行動も行われる前に、1ゲームにつき1回だけ、その手札を引き直す機会があります。〔3〕
パイルカウント(デッキを山に配って枚数を確かめること)は、4つの条件のもとで認められます。
- シャッフルの前に行うこと
- **ゲームが始まる前だけ。**プレイが始まってからは、途中でも終わってからも行わないこと
- 1ゲームにつき1回だけ
- デッキを操作するようなやり方では決して行わないこと
数え終わったら、プレイヤーはシャッフルし、もう一度デッキを対戦相手に差し出します。〔3〕
認められない3つの形は、見張っておく価値があります。シャッフルの代わりに使うパイルカウント、ゲームの途中でのパイルカウント、同じゲームの前に2回目のパイルカウント。
04 試合終了時の手順
時間が告げられたとき、あなたがいくつもの卓で同時に進めることになる手順です。一段ずつ覚えてください。ラウンドの時間が告げられたら、進行中のゲームはすべて次のように進みます。〔3〕
図1 · 試合終了時の手順、ターンごと
[時間が告げられる]
ターン0 プレイヤーA が進行中のターンを終える … 数えない
ターン1 プレイヤーB
ターン2 プレイヤーA
ターン3 プレイヤーB
ターン4 プレイヤーA
ターン5 プレイヤーB
─────────────────────────────
合計5ターン。誰のターンかにかかわらず数える
(ふつうは A にあと2ターン、B にあと3ターン)
ターン6・7 … Slow Play の手当てで足される2ターン。
この手順にのみ足され、
しかも「時間の時点でまだ試合が続いていて、
すでに延長ターンに入っていなかった場合」に限る
ターンの途中でゲームが終わったら → ふつうどおり報告する
スイスドローで、ターン5の終わりに決着していなければ → ゲームの勝ち数が多いほうが試合の勝者。勝ち数が同じなら試合は引き分け
決勝トーナメントで、時間の時点で → ゲームの勝ち数が多いほうが試合の勝者。同数なら5ターン行い、それでも同数なら現在のゲームのロアが多いほう。ロアも同じなら、どちらかのロアが上回るまで続ける
ターン0は、時間が告げられたときに進行中だったターンで、これは数えません。そのあと5ターンが続き、誰のターンかにかかわらず数えるので、ふつうは時間の時点でアクティブ・プレイヤーだった側にあと2ターン、対戦相手に3ターンになります。このターンの途中で終わったゲームはふつうどおり報告し、5ターン目の終わりにどちらも勝っていなければ、ゲームの勝ち数が多いほうが試合を取り、終わらなかったゲームは引き分けとして記録されます。〔3〕Slow Play の手当てはこの手順に2ターンを足しますが、足すのはこの手順にだけです。〔4〕
スイスドローでは、両者のゲームの勝ち数が同じ場合、あるいはどちらも1ゲームも勝っていない場合、試合は引き分けとなり、上のマッチポイントのルールで処理されます。〔3〕
決勝トーナメントは引き分けで終われないので、手順が続きます。時間が告げられた時点でゲームの勝ち数が同じなら、追加の5ターンを行います(進行中のゲームが無ければ新しいゲームを始めます)。その5ターンの終わりでもなお同数なら、現在のゲームでロアの合計が多いほうが試合の勝者です。ロアの合計も並んでいるなら、どちらかのロアがもう一方を上回るまでゲームを続け、上回った時点でそのプレイヤーがそのゲームに勝ちます。〔3〕
要確認: 大会ルールはこの手順に2つの名前を使っています。3.3節は「End-of-Round procedure」、 3.4節は「end-of-match procedure」。同じ手順で、決勝トーナメントは独自の変種を告知することがあります。〔1〕 日本語版が無いため、ここでは両方まとめて「試合終了時の手順」と訳しました。
Slow Play(遅いプレイ)の手当てが入るのもここです。時間が告げられたときにまだ続いていた試合は、この手順のために追加で2ターンを受けます。すでに延長ターンに入っていた試合は、訂正の措置だけを受け、手当てはありません。〔4〕この2ターンは試合終了時の手順の一部なので、ラウンドの途中でプレイヤーが要求することはできませんし、試合が延長ターンに入ってしまえば存在しません。
Slow Play の項目の残り(レベルごとの訂正の措置)は Enforcement クラス05 にあります。
05 結果の報告
試合が終わったら、**両者に、結果を確認してトーナメント主催者へ所定の方法で報告する責任があります。**方法は紙の結果記入用紙のこともあれば、Ravensburger Play Hub のようなデジタルの仕組みのこともあります。
結果を提出する前に、プレイヤーは勝者と、結果のコード ―― 2-0-0 / 2-1-0 / 1-1-1 / 0-0-3 のいずれか ―― を確認し、求められたときはロアガイドまたは主催者に対して、両者ともその報告内容を認めなければなりません。食い違いや未報告はただちに主催者へ回します。結果を不正確に報告すると、試合の敗北や失格にまで至る措置を受けることがあります。〔3〕
用紙を集めているとき、あなたが確かめているのは、順位表が組み上がる元になる記録です。
06 ラウンドの時間
スイスドローのラウンドは最低50分で、最大は60分が推奨です。決勝トーナメントの試合は時間無制限が望ましく、会場の都合で制限を設けざるを得ない場合は、最低70分をトーナメント表が始まる前に告知します。イベント全体が決勝トーナメント形式なら、スイスドローと同じ50〜60分です。〔5〕
時間まわりでよく出てくるルールが2つあります。
**(1)ラウンドの繰り上げ開始。**あるラウンドの試合がすべて早く終わったら、**リードロアガイドは次のラウンドを繰り上げて始められます。**そして、元の予定どおりに来たプレイヤー ―― 新しいラウンドが始まったあと、元のラウンドが終わるはずだった時刻より前に着いた人 ―― には、遅刻の訂正の措置を与えてはいけません。〔5〕これは、始まったことを知りようがなかったラウンドについて、Enforcement クラス05 の Tardiness(遅刻)の項目からプレイヤーを守るためのものです。
(2)時間延長。ラウンド中の1分を超える中断には、その中断と同じだけの時間延長が与えられます。デッキチェックは、チェックにかかった時間+3分です。〔6〕
Limited(リミテッド)のイベントには独自の時間があります。デッキ構築と登録の時間と、ドラフトの1ピックごとの時間で、後者はパックが減るにつれて30秒から3秒へと下がっていきます(Competitive と Premier Play の場合)。〔7〕そういうものがあると知っておき、担当する前にその節を読んでください。
07 投了と意図的な引き分け
**プレイヤーは、終わっていないゲームや試合を、いつでも投了できます。**敗北はただちに確定します。試合を行うことを拒んだプレイヤーは、投了したものとして扱われます。〔8〕
投了は、常にそのプレイヤー自身が行うものです。求めることは、決して認められません。
**プレイヤーは対戦相手に投了を求めてはならず、投了と引き換えに何かを提示することも、受け取ることもできません。**そうした申し出を受けたプレイヤーは、ロアガイドを呼んで報告しなければなりません。〔8〕
**繰り返し求めると、扱いが変わります。**対戦相手に投了を繰り返し求めることは、PCG が挙げる Unsporting Conduct – Minor(スポーツマンシップに反する行為・軽度)の例そのものです。〔9〕卓でのやり取りの進め方は Enforcement クラス09 が扱います。
**意図的な引き分け(intentional draw)は適法で、かつ規定があります。**試合が終わる前であればいつでも、両者が合意してよく、0-0-3 と記録されます。プレイヤーが意図的な引き分けを求められるのは1試合につき1回だけで、**引き換えに何も提示できません。**投了と同じく、見返りに何かを提示された側は、ロアガイドを呼んで報告する義務があります。〔8〕
要となるルール: 合意そのものは適法。それを得るために何かを提示することは適法ではない。〔8〕
**次は Enforcement クラス09。**伝え方ともめごとの鎮め方を扱います ―― このクラスで学んだ裁定を、両者に分かるように届けるには。
用語について(訳者から)
| 英語 | この訳 | 備考 |
|---|---|---|
| Entry-level / Competitive / Premier Play | Entry-level / Competitive / Premier Play | イベントの格付け。日本語版が無いので原語のまま |
| Tournament Organizer | トーナメント主催者 | |
| match points | マッチポイント | |
| Swiss | スイスドロー | |
| single elimination | 決勝トーナメント(シングルエリミネーション) | |
| pregame procedure | ゲーム開始前の手順 | |
| pile count | パイルカウント | |
| end-of-match / End-of-Round procedure | 試合終了時の手順 | 大会ルールが2つの名前を使っている(3.3 / 3.4) |
| extra turns | 延長ターン | |
| Slow Play | Slow Play(遅いプレイ) | PCG の違反名。原語のまま |
| Tardiness | Tardiness(遅刻) | 同上 |
| Unsporting Conduct – Minor | Unsporting Conduct – Minor(スポーツマンシップに反する行為・軽度) | 同上 |
| concede / concession | 投了 | 日本のTCGで一般的な語 |
| intentional draw | 意図的な引き分け | |
| Limited | Limited(リミテッド) | |
| Ravensburger Play Hub | Ravensburger Play Hub | 固有名詞。訳さない |
訳注: 格付け名は日本語版イベントルール 1.2 で エントリーレベル/競技/プレミアプレイです。 違反名(Slow Play / Tardiness / Unsporting Conduct – Minor)はプレイ修正指針の語で、 日本語版の文書が確認できていないため原語のままにしています。 なお日本語版イベントルールは英語版 Tournament Rules の訳ではなく、節番号も一致しません。
この日本語版は Lore Guide Institute のコンテンツをもとにしています。原典: このクラスの英語版。日本語化はロルカナギルドによるもので、誤りがあればこちらの責任です。